質問の大切さ,おもしろさ
序論
質問は,勉強においてもっとも大切なものだ. 私は,両親からかなり色々大きく影響を受けているので,この思想は,彼らによるところが大きい. 「わからない」ときに「わかった」風なコメントや感想を述べることが,我が家ではもっとも愚劣とされていた. 逆に,本質的なことを「ここが特にわからない」というと,それは「いい質問やな」と褒められた. また,「わらかない」と答えて怒られたことはない. そのせいで私自身,自分が何かをわからないことを知ったかぶりするのがいやなので,どんな説明でも納得がいかないときは納得していないと表明する. そんな私は,勉強会や博物館で,多くの人が質問の大切さや,質問されたり,質問することに慣れていないことに悲しい気持ちになる. ただ,ここで出てくる人たちを非難するものではない. もっと,みんな質問しようぜ!楽しいぜ!と言いたいのである.
ケース1
ある博物館でビルの地震対策のデモを交えた説明があった. 近代的なビルは,地震時の共振を防ぐために,ビルのフロアを丸ごと水槽にしたり,ビルのどこかに呆れるくらい巨大な振り子を内蔵していたりする. これらの仕組みは,ビルの振動と異なる周波数や位相で振動するため,地震時のビルの大きな揺れを防ぐ仕組みを持っているのである. このデモ説明では,1メートルくらいの,7階建くらいのビルの模型に水を入れたコップ置き,そのビルの模型を揺らすとどうなるかという実験だった. コップを置かない状態では,ビルはすごい揺れになる. 次に説明員は,2階にコップを置く.ビルはすごく揺れる. さらに説明員は3階にコップを置きなおす.ビルの揺れは小さくなる. ビルの振動とコップの水の振動,その場所の関係の大切さを示す,おもしろい実験だ. 一通り実験が終わった後,質問コーナーっぽくなったときに,私が「コップの水を減らしたらどうなるんですか?」と聞いてみた.
- 私の心の声「これ,いい質問じゃないの・・・?実験も説明も色々できるやん!俺GJ!!!!」
すると,説明員はたんたんと水を減らし,実験し,「揺れが大きくなりました」と返答したのである. そして,一緒に聞いてた人たちの「この人,なんで質問してるの?」という空気. 私の心の声「ちゃうやん!そこちゃんと説明せなあかんやん!おもろい実験やん!説明する人がスルーしたらあかんやん!」
ケース2
ある博物館でティラノサウルスの頭蓋骨の説明をしている人がいた. 彼はボランティアの説明員のようにも見えた. 彼は,数組の親子連れの前で「ティラノサウルスの頭蓋骨の特徴は,側頭部に穴があることなんです.この穴は大きいんです.」と説明していた. そこで,私は,「なんでティラノサウルスの頭蓋骨の横側の穴は大きいんですか?」と質問した.
- 私の心の声「これはFAQやろ.子供達も知りたいやろ」
そのとき,彼は「へ?」と答えた.そして,周囲の親子は一斉に私を見た.「なんで質問してるの?」と言わんばかりの視線とともに. 私は,「へって・・・いや普通に理由を知りたくないですか?」って聞くと,「よくわからない.化石だから,何がなんだかわからないんですよね.」と彼は答えた. 私は,「耳の穴が大きかったとか?」と続けると,「わからないです・・.」と彼は答えた・・・.
- 私の心の声「なんで質問するのかを説明するって,博物館の存在意義は・・・ひいてはオッチャンの存在意義はなんやねん」
後日談
友人にこの話をした. その場で友人がネットでティラノサウルスのことを検索してみる・・・・・. そうすると,この頭蓋骨の穴は,強力な顎の咀嚼力を実現するための筋肉を入れるためのスペースのためにあるという説があるらしい. 「めっちゃおもろい話やん・・・・」 だから,草食系の恐竜とは違うんだとか・・・色々ものの見方ができるやん・・・・.
質問大切です.