歴史は教科書だけではだめだ.ちゃんとわかっている人が書いたものを読まないといけない.歴史的に論理的かつ証拠に基づいて考察される歴史観と,世間で考えられている歴史観が違いすぎる.たとえば,「酒池肉林」.これは商つまり殷の最後の紂王は相当な愚か者だったとされているが,これは怪しい.歴史は勝者が作る者なのでその辺の事情を差し引いて事実を推察しなければならず,これを誇張だとするのが普通だとも考えられる.この本に出てくる曹操と劉備も誤解されている人の代表だと思う.曹操=悪辣,劉備=庶民の英雄という図式が世間の歴史巻だと考えられる.私もこの図式をずっと信じていたが,この本を読んで曹操の方が王たる何かを持っているように思え,やはり固定の歴史観は壊された.
この巻も結局おもしろかったので,続けて4,5巻に挑戦することにする.次回はまさに治世と愚帝の「隋」が登場する.私がもっている煬帝=愚帝のイメージは壊れるのだろうか.