DirectShowからアプリケーションへのメッセージ

複数のフィルタから構成されるグラフで，すべてのフレームのレンダリングが終わったとき，エラーが起きたときなど，DirectShow側からそのイベントが起きたタイミングを知ることができれば，便利である．コールバックで実装することも可能であるが，DirectShowでは，これをWindows のメッセージを機能を利用し，アプリケーション側にメッセージを送信することができる．そのプログラミングについて説明する．

メッセージ送信の設定

まず，IMediaEventExのインタフェースのポインタをグラフビルダから取得する．

hResult = m_pGraph->QueryInterface(IID_IMediaEventEx, (void **) &m_pMediaEvent);
if (hResult != S_OK)return FALSE;

このインタフェースを利用し，イベントを処理する．IMediaEventExのメソッド，SetNotifyWindowを使い，ビルダがメッセージを送信するウィンドウを指定する．指定にはウィンドウハンドルを利用する．具体的には以下のように設定する．

hResult = m_pMediaEvent->SetNotifyWindow((OAHWND)this->m_hWnd, WM_DSHOW,0);
if (hResult != S_OK)return FALSE;

第1引数がメッセージの送信先のウィンドウハンドル，第2引数がメッセージの識別子となる．第3引数がメッセージを受け取るときのパラメータWPARAMとなる．第2引数は，他のメッセージと重複することはあってはならないため，ユーザ用の未定義値を利用する．これには，WM_APPを利用する．

#define    WM_DSHOW    WM_APP+1

このウィンドウメッセージを処理する．

受信側のコーディング

SDKのAPIを利用する場合は，WM_PAINTなどと並んで，WM_DSHOWを処理する．MFCの場合には，以下のようにオリジナルのメッセージハンドラを実装する．

BEGIN_MESSAGE_MAP(CDirectShowSkeltonMFCExView, CView)
//\{\{AFX_MSG_MAP(CDirectShowSkeltonMFCExView)
ON_WM_SIZE()
ON_MESSAGE(WM_DSHOW,CDirectShowSkeltonMFCExView::OnWMDSHOW ) // 追加
//\}\}AFX_MSG_MAP
END_MESSAGE_MAP()

これで，MFCを利用する場合，メッセージ受信時にOnWMDSHOWが呼び出されることとなる．しかし，受信しても，グラフビルダで何が行ったかはこのままではわからない．DirectShowで発生するイベントは，すべてがそのまま送信されるのではない．DirectShow側の細かいイベントは，IMediaEventExインタフェースを通して，取り出すことになる．WM_DSHOWメッセージ受信時にIMediaEventExからDirectShowイベントを取得する．
このイベント処理は，EventHandleで実装する．

void HandleEvent(void){
long evCode, param1, param2;
HRESULT hResult;
// イベントキューからイベントを取り出す
while (hResult = m_pMediaEvent->GetEvent(&evCode, ¶m1, ¶m2, 0), SUCCEEDED(hResult)){
// 上で取り出したイベントを消去する
hResult = m_pMediaEvent->FreeEventParams(evCode, param1, param2);
if ((EC_USER == evCode)){
if( param1 == PARAM_MESSAGE_FROM_FILTER && param2==PARAM_MESSAGE_FROM_FILTER){
this->MessageBox("フィルタからメッセージを受け取りました．","DirectShowSkeltonMFCEx",MB_OK);
break;
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
}

　まず，IMediaEventExのGetEventメソッドでメッセージを取得する．取得したメッセージは，FreeEventParamsで消去する．DirectShowのメッセージは処理されるまで，バッファに残るため，このように処理したメッセージは明示的に消去する必要がある．取得した情報は，ここで自由に処理することができる．

送信側のコーディング

DirectShowのメッセージは，フィルタからも送信することができる．これは，NotifyEventメソッドで送信することができる．

NotifyEvent( EC_USER, wParam, lParam );

　ここでの第1引数が，DirectShowメッセージの識別子であり，第2，3引数がDirectShowメッセージのパラメータとなる．
　DirectShowのビルダグラフもメッセージを送信する．たとえば，EC_COMPLETEは，すべてのストリームが再生が終わった場合に送信される．他にもデバイスを失ったときなどメッセージが送信されるタイミングがある．これは，ヘルプに記載されている．MSDNを参考にされたい．
http://code.google.com/p/sonson-code/source/browse/#svn/trunk/win/DirectShow/ThroughEx